インプラント手術の危険性

 インプラント手術の危険性について考えてみます。
 世界的に見れば、手術を受けた患者数は1000万人を超えており手術の成功率は99%以上となっています。厳格なルールにそって治療を行えば必ず成功する手術とされ、万が一手術でトラブルがあっても、それに対する対応手続きもすでに確立されています。
 にもかかわらず、インプラント手術の危険性が指摘されるような記事が日本の週刊誌や新聞で特集されてしまった背景には何があったのか見てみると、どうやらインプラント治療法よりも、歯科医の過失や手抜きに問題があるようなケースが多いようです。

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インプラント手術で使う素材に危険性はあるのか?

 インプラント手術に使う素材は主要な大手メーカー素材を使っている限り危険性はないです。
 しかし、コスト削減のために、歯科医がアジア地域から安い素材を独自に仕入れたり、「うち独自の技術だ」と言ってどこかで加工した素材となると安全性に保証はできなくなります。TVでも特集されましたが、中国で加工された素材に、日本では禁止されている有毒な物質が混合していたそうです。
 また、週刊誌で話題になった「インプラント使い回し疑惑」もあります。
 埋込みに失敗して抜き戻したインプラントは素材は再利用が禁止されています。再利用は危険なのです。にもかかわらず使い回しをしていた歯科医がいたというのです。


インプラントの外科手術方法の危険性

 インプラント外科手術は高度な医療行為ですが、技術的な面から言えば、歯科医にとっては必ずしもインプラントだけが特別難しい治療方法というわけではありません。
 とはいえ、医療事故がインプラントの外科手術でも起こる可能性はあります。
 歯科医が衛生面に手抜きをしていれば、切開手術中の細菌感染の危険性が高まります。
 また、CTスキャンをとらずに、骨の太さや神経の位置を確認しないで手術を行うと、神経損傷や大きな血管の損傷による大量出血の危険性も高まります。

インプラント手術にはどのような危険性があるか

インプラント手術にある危険性といえば、インプラントを埋めるために骨にドリルを入れた時に起こる可能性のあるトラブルを考えなければなりません。
  • 下顎の神経損傷の事故
  • 上顎洞や鼻腔の事故
  • 血管損傷による出血事故
 下顎の神経損傷の事故ですが、インプラント手術中に起こる事故で特に多いがこれです。CT(コンピューター・トモグラフィー)を使って骨の形状や神経の位置がわかるようになったため、神経損傷の事故は以前よりも大幅に減ったものの、今でも多い事故です。下顎骨中の神経は知覚神経であり、運動神経ではありませんので、顎が動かなかったり、筋肉が引きつったりするようなことはありませんが、麻酔をしたときのような神経麻痺が常にあります。
 万が一に神経の損傷が起きてしまった場合、ビタミンや薬物投与による治療を行って対処します。どこまで回復できるかは個人差によります。ただし、神経を完全に切断してしまった場合は回復不可能になってしまいます。
 血管損傷による出血事故は、大きなものは動脈や舌の根元にある大きな血管を損傷してしまったりと、ドリルの操作を誤まることで起きます。また、脳梗塞の薬のように血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合、治療中の止血が止めにくくなることがあります。このような患者は一時的に薬を止める必要があります。
 上顎洞の損傷による蓄膿症や、鼻腔の粘膜損傷による大量出血の事故があります。ただこれらの事故はそれほど起きるものではありません。

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