インプラント手術の手順

 インプラント手術の手順を一般的に多く行われている2回法の術式の場合で見てみましょう。

インプラント手術 2回法の一次手術の手順

インプラント体を顎の骨に埋め込む約1時間の手術の手順を解説します。

局所麻酔をします

インプラント体(人工歯根)を埋める箇所の歯肉を横方向に切開し
ます。

歯肉を開いて反転させ、歯槽骨を露出させます

ドリルで歯槽骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込むための穴をあけます

インプラント体を埋め込みます

インプラント体の頭の部分にカバーを装着します

切開した歯肉を閉じて縫合し、インプラント体を完全に覆います

抜糸は1~2週間後に抜糸を行います。抜糸のあとは、埋め込んだインプラント体と顎の骨の隙間が埋まり、完全に結合するのを待ちます。上顎は3ヶ月間・下顎は6ヶ月間かかります。

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インプラント手術 2回法の二次手術の手順

再び歯肉を切開し、埋め込んだインプラント体の頭に、上部構造(人工歯冠)の土台となるアバットメントという部品を取り付ける約1時間の手術の手順です。

局所麻酔をします

インプラント体を埋め込んだ場所の歯肉を切開します

アバットメントを装着します

アバットメントの周囲を縫合します

1~2週間後に抜糸をし、仮歯をつけて時間をかけます。
歯肉が落ち着いてきたら、口の型などをとって正確な仮歯を作り、それをもとに上部構造(人工歯冠)を作製します。出来上がった人工歯冠をかぶせたら、噛む相手の歯との咬み合わせを調整して完成になります。

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インプラントの手術の金額

 インプラントの手術の金額は歯1本30万円~40万円くらいが全国的に見ても一般的な相場です。
治療終了までに多くの人の手が加わるので治療の質を徹底すれば50万円超えてもおかしくありません。

歯のインプラント治療は、最先端医療であり、国民の最低限の健康を保証する健康保険制度の対象外の診療です。
国による7割負担もなく治療費が高額になります。

 インプラントから得られる多くのメリットを長期間得られると考えれば、必ずしも高額とは言い切れない分もありますが、短期間で大金が出ていくのは重荷です。
医療費控除による減税分を含めて、治療を受けようかどうか判断をしましょう。
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インプラントの手術の金額は歯科医によって大きく違う

 インプラントの手術の金額は歯科医によって大きく違います。
 インプラントは保険外診療なので治療費は歯科医が自由に決めることができるからです。
 自由だから「うちはしっかり利益を頂きたいから60万円」「うちは薄利でもいいから患者を多く獲得したい」というように経営方針的な要素も価格設定には大きいですが、それ以外にも費用に関わる細かな要因を考えてみます。

インプラントの手術の金額を決める要素

 インプラントの手術の金額を決める要因には、歯科医院側の事情だけでなく、患者の状況も関係してきます
  • 歯科医院がどのメーカーのどのインプラント素材を使っているか
  • 歯科医院の診察方法(CTスキャン・レントゲン)
  • 歯科医院のスタッフ・設備のコスト
  • 歯科医院の滅菌・消毒の対応の度合い
  • 患者に虫歯や歯周病があれば事前に治療が必要になることも
  • 患者の骨量が足りない場合の骨再生や骨移植治療・歯肉整形が必要になることも
  • 患者に対する麻酔の方法(局所麻酔・鎮静法)
 健康保険適用外の医療行為は、価格をいくらにするかは歯科医の自由です。それでも歯科医はボランティアでは無いので利益を出さなければなりません。
 多くの場合、歯科医院はインプラント素材や道具を歯科材料商から仕入れます。大手メーカーのインプラント素材を仕入れて、インプラント1本分手術をすれば、一回で20万円~30万円くらい歯科医が負担する費用として計上することになります。そこに、例えば設備や人件費など細々したものを無視し歯科医の利益分を5万円として計算すると、患者さんに請求する額は25万円~35万円となります。ですので、インプラント治療の相場は20万円台ならかなり安い部類に入るということです。

手術の金額の安いインプラント

 手術の金額の安いことを売りにしたインプラント治療の宣伝をよく見かけます。時々10万円台で治療している歯医者が広告を出していますが、あまりにも安すぎるのにはインプラント素材などに訳がありそうなので、なぜ安いのか直接歯科医に聞いてみたほうが良いでしょう。現に歯科医がアジア地域へ行って大手メーカーの模倣品やコピー品のインプラント素材を購入してくることもあるようです。粗悪品は安全性・耐久性・衛生面で問題がある場合いがあります。安すぎる場合は当然として、高い場合もで、インプラント素材のメーカー・製造発注元を教えてもらうことは重要です。
 また、インプラント手術には切開する場面もあり、衛生面に非常に気を付けなくてはなりません。手術失敗の原因となる細菌感染を起こさないためにも、治療道具・治療室を滅菌消毒を徹底する必要があります。それにはそれ相応のコストをかけなくてはなりません。

インプラントの手術の金額が安い歯科医の安全性をチェック

  • 事前説明やコミュニケーションは時間をかけて丁寧に行なってくれているか
  • CTスキャンやレントゲンをきちんと行なっているか
  • 道具の衛生管理に手抜きはないか。道具は滅菌バッグなどに入っているか
  • 治療室の衛生はよさそうか。手術室があれば尚よし
  • インプラント素材はどこのメーカーのものか
  • 歯科助手に手術をさせていないか
  • 歯科衛生士はいるか。スタッフの質はどうか
 また、インプラントの見える部分(歯の部分)の見かけを、自然なエナメル質の白い歯にするか、金属製の銀歯で我慢するかでも5万円程度の差があります。白い人工歯が当然入ると思ったら、安いなと思って治療を受けたら、直前の段階で銀歯だったなんてトラブルもありますで注意しましょう。

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インプラント手術後の注意点

インプラント手術後の注意点をまとめました。
 インプラント体埋め込み手術後の2週間が無事に過ごせれば、歯のインプラント治療もほとんど成功したといって良いでしょう。

インプラント手術から抜糸までの期間で注意すること

インプラント手術から抜糸までの期間は出血や細菌感染に注意する必要があります。お風呂に長く入るのは手術の1~2日後までは避けたほうがいいでしょう。激しいスポーツも控えます。プールは潜ったりすると、細菌感染する危険もあるのでやめておきましょう。できれば外出も控えます。
 また、入れ歯を利用してる人は、1週間使用を控えます。入れ歯を利用は歯科医師と相談して許しが出てからになります。
 インプラントを埋め込んだ場所に入れ歯をのせて刺激を与えることが問題になります。1週間後に入れ歯を利用し始める場合でも、人工歯根の箇所に刺激が伝わらにようにクッションになるゴム状の安定剤を入れ歯と歯茎の間に入れます。

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インプラント手術後の食事の注意点

 インプラント手術後の食事で注意したいのは刺激のある物やお酒を避けるということです。あとは普段どおりの食事でも大丈夫です。あえて選ぶなら柔らかいものがいいかもしれません。パンやおかゆ、野菜ジュースに牛乳などがお勧めです。噛むときは手術した部位に食べ物がいかないように意識します。食事が終わったらすぐに口をゆすいで清潔を保ちます。また、タバコは手術後だけでなくインプラント治療が完了した後も厳禁です。タバコは治療後の治癒を遅らせるほか、衛生面で悪影響大です。喫煙者の口内細菌は、非喫煙者の何倍にもなります。

インプラント手術後の腫れや痛みの注意点

 インプラント手術後の一週間は、腫れや、鈍い痛みを感じることがあります。もし、腫れや痛みが酷いときはすぐ担当医に診てもらいましょう。
歯肉を切開した後の痛みは痛み止め(鎮静剤)を飲んで対処しますが、人によっては全く痛み止めを飲むことないまま痛みが消えるまで数日待つ方も多いです。 また、熱を持ったような腫れの痛みを和らげるには、濡れたタオルなどで冷やすことも有効です。

インプラント手術後の出血の注意点

 インプラント手術後の出血は傷口を縫って止血するのでいつまでも続くことはありません。もし、出血がなかなか止まらないようなら、担当医師に診てもらいます。
 血液をサラサラにするような効果がある高血圧や脳梗塞向けの薬を飲んでいる場合は、事前に医師と相談しておきます。

インプラント手術の先駆者

日本におけるインプラント手術の先駆者である東京医科歯科大学の小宮山氏が、現代の歯科インプラント技術をスウェーデンから持ち帰ったのが1983年です。

その優れた技術が認められると、東京医科歯科大学の次には日本歯科大学が技術の導入にはいり、現在ではほとんどの歯科大学がオッセオインテグレーテッド・インプラントを導入しています。

日本は欧米に比べて、インプラント治療に関しては教育が遅れたために、症例はまだ少ないです。
インプラント治療を行っている歯科医もかなり少数派です。
21世紀になり日本でも各大学でインプラント学科が設置され始め、いよいよ日本でもインプラント治療が普及していく段階になりました。

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世界のインプラント手術の先駆者

 インプラント手術の先駆者スウェーデンの整形外科医プローネマルク教授は1952年、うさぎのひざの骨にチタンを植え込んだ実験でチタンと骨の完全結合関係を発見しました。

 教授はこの発見から、人の骨にチタンを埋め込むと、何カ月後には埋め込んだ時のわずかな骨とチタンの隙間がふさがってチタンが骨に半永久にくっつくという大発見を導き出したのです。
この結合をオッセオインテグレーション(骨の融合)と呼ぶようになりまいた。

歯のインプラント治療もこの「オッセオインテグレーション」の研究から実験を重ね、「上の顎骨は6ヶ月」「下の顎骨は3ヶ月」というチタンとの結合時間を導き出した結果生まれた医療技術になります。

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インプラント手術の医療費控除

インプラント手術の治療費は医療費控除の対象になります。
 医療費控除とは、1年間に支払った医療費が10万円を超えると、税金を払う額が小さくなる制度です。美容整形などでは適用されない歯科インプラントの治療費にもこの制度に適応されます。 

インプラント手術 医療費控除の計算

医療費控除の金額=(全ての医療費ー10万円)×所得税率
 計算式の「全ての医療費」の部分は200万円が上限とされています。所得税率が高い高額所得者ほど減税額が大きくなるのが特徴です。
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 サラリーマンは税金を源泉徴収で支払っていますが、源泉徴収時の計算には医療費控除分が含まれていません。支払う税金で減額されなかった分は、1月すぎに税務署で申告するとその分を還付金として返してもらえます。
 また、自分の医療費が200万円以下でも、扶養している配偶者や親族のために支払った医療費も自分の家計で支払った医療費として含めて計算できます。
 妻が共働きで家計が独立しており、扶養家族となっていない場合も合算できますが、そこでは注意が必要です。
 もし妻のほうの所得が多い場合は、妻のほうの家計で医療費を合算して医療費控除を利用します。そうすることで、より所得が大きな妻の所得税率を計算に利用できるため、医療費控除の金額が大きくなるのです。

 

インプラント手術 医療費控除の申告で手続きで用意するもの


    インプラント医療費控除
  1. 医療機関からもらった領収書やレシート。通院にかかった交通費の証明になる物(自家用車で通院した場合の駐車料金・ガソリン代は対象外)。
  2. 源泉徴収票(サラリーマンの場合)
  3. 印鑑
  4. 金融機関の口座番号(還付金入金の先)
 申告していなかった医療費控除は5年前までさかのぼって金額に合算し、申告するとができます。今回申告し忘れた医療費控除分も、次の年度以降に利用できるので、領収書などはきちんと保管しておきましょう。
 また、医療費控除は所得税(国税)に適応される制度ですが、地方税は確定申告で申告した所得をもとに課税されるため、医療費控除で課税対象となる所得を減らせた分だけ地方税も小さくなります。
 つまり、医療費控除を申告することで減額される税金額は、所得税と地方税の減額分を合わせたものとなります。

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インプラント手術の価格

 インプラント手術の価格は歯1本30万円~40万円くらいが全国的に見ても一般的な相場です。
治療終了までに多くの人の手が加わるので治療の質を徹底すれば50万円超えてもおかしくありません。

 歯のインプラント治療は、最先端医療であり、国民の最低限の健康を保証する健康保険制度の対象外の診療です。
国による7割負担もなく治療費が高額になります。

 インプラントから得られる多くのメリットを長期間得られると考えれば、必ずしも高額とは言い切れない分もありますが、短期間で大金が出ていくのは重荷です。
医療費控除による減税分を含めて、治療を受けようかどうか判断をしましょう。
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インプラント手術の価格は歯科医によって大きく違う

 インプラント手術の価格は歯科医によって大きく違います。
 インプラントは保険外診療なので治療費は歯科医が自由に決めることができるからです。
 自由だから「うちはしっかり利益を頂きたいから60万円」「うちは薄利でもいいから患者を多く獲得したい」というように経営方針的な要素も価格設定には大きいですが、それ以外にも費用に関わる細かな要因を考えてみます。

インプラント手術の価格を決める要素

 インプラント手術の価格を決める要因には、歯科医院側の事情だけでなく、患者の状況も関係してきます
  • 歯科医院がどのメーカーのどのインプラント素材を使っているか
  • 歯科医院の診察方法(CTスキャン・レントゲン)
  • 歯科医院のスタッフ・設備のコスト
  • 歯科医院の滅菌・消毒の対応の度合い
  • 患者に虫歯や歯周病があれば事前に治療が必要になることも
  • 患者の骨量が足りない場合の骨再生や骨移植治療・歯肉整形が必要になることも
  • 患者に対する麻酔の方法(局所麻酔・鎮静法)
 健康保険適用外の医療行為は、価格をいくらにするかは歯科医の自由です。それでも歯科医はボランティアでは無いので利益を出さなければなりません。
 多くの場合、歯科医院はインプラント素材や道具を歯科材料商から仕入れます。大手メーカーのインプラント素材を仕入れて、インプラント1本分手術をすれば、一回で20万円~30万円くらい歯科医が負担する費用として計上することになります。そこに、例えば設備や人件費など細々したものを無視し歯科医の利益分を5万円として計算すると、患者さんに請求する額は25万円~35万円となります。ですので、インプラント治療の相場は20万円台ならかなり安い部類に入るということです。

手術の価格が安いインプラント

 手術の価格が安いことを売りにしたインプラント治療の宣伝をよく見かけます。時々10万円台で治療している歯医者が広告を出していますが、あまりにも安すぎるのにはインプラント素材などに訳がありそうなので、なぜ安いのか直接歯科医に聞いてみたほうが良いでしょう。現に歯科医がアジア地域へ行って大手メーカーの模倣品やコピー品のインプラント素材を購入してくることもあるようです。粗悪品は安全性・耐久性・衛生面で問題がある場合いがあります。安すぎる場合は当然として、高い場合もで、インプラント素材のメーカー・製造発注元を教えてもらうことは重要です。
 また、インプラント手術には切開する場面もあり、衛生面に非常に気を付けなくてはなりません。手術失敗の原因となる細菌感染を起こさないためにも、治療道具・治療室を滅菌消毒を徹底する必要があります。それにはそれ相応のコストをかけなくてはなりません。

インプラントの手術の価格が安い歯科医の安全性をチェック

  • 事前説明やコミュニケーションは時間をかけて丁寧に行なってくれているか
  • CTスキャンやレントゲンをきちんと行なっているか
  • 道具の衛生管理に手抜きはないか。道具は滅菌バッグなどに入っているか
  • 治療室の衛生はよさそうか。手術室があれば尚よし
  • インプラント素材はどこのメーカーのものか
  • 歯科助手に手術をさせていないか
  • 歯科衛生士はいるか。スタッフの質はどうか
 また、インプラントの見える部分(歯の部分)の見かけを、自然なエナメル質の白い歯にするか、金属製の銀歯で我慢するかでも5万円程度の差があります。白い人工歯が当然入ると思ったら、安いなと思って治療を受けたら、直前の段階で銀歯だったなんてトラブルもありますで注意しましょう。


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インプラント手術の種類

インプラント手術の種類は一般的に次の「1回法」と「2回法」になります。2回法のほうが多く採用されている方法です。患者の状況に合わせて1回法と2回法を使い分ける歯科医もいます。
 2回法は少し手間が増えますが、1回目の手術時に歯肉を閉じるため、感染リスクが1回法よりも低いメリットがあります。


インプラント手術の種類 1回法

歯肉を切開し、インプラント体を埋め込み、インプラント体の頭を露出させたまま3ヶ月~6ヶ月の治癒期間で安定させる。最後にアバットメントと人工歯を固定して完成。

インプラント手術の種類 2回法

歯肉を切開し、インプラント体を埋め込み、切開した歯肉を閉じて縫合し3ヶ月~6ヶ月の治癒期間で安定させる。2回目の手術で再度歯肉を切開し、アバットメントを装着、仮歯やカバーをかぶせるなどして1ヶ月安定させる。歯を被せて完成。

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抜歯後にインプラント手術をする2種類の方法

通常の方法・・・抜歯した時に出来た穴が埋まるのを数ヶ月待ち、それからインプラント体を埋め込む手術をします。
最新の方法・・・歯槽骨にダメージを与えないように丁寧に抜歯し、抜歯後の穴が治るのを待たずに、インプラント体を埋め込む。抜歯による穴が治癒するのと同時にインプラントと骨の結合します。ただ、この種類の手術方法は結合の定着率に課題があるため、リスクが高い方法です。

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インプラントの手術代金

インプラントの手術代金は歯1本30万円~40万円くらいが全国的に見ても一般的な相場です。治療終了までに多くの人の手が加わるので治療の質を徹底すれば50万円超えてもおかしくありません。
 歯のインプラント治療は、最先端医療であり、国民の最低限の健康を保証する健康保険制度の対象外の診療です。国による7割負担もなく治療費が高額になります。
 インプラントから得られる多くのメリットを長期間得られると考えれば、必ずしも高額とは言い切れない分もありますが、短期間で大金が出ていくのは重荷です。医療費控除による減税分を含めて、治療を受けようかどうか判断をしましょう。

インプラントの手術代金は歯科医によって大きく違う

インプラントの手術代金は歯科医によって大きく違います。
 インプラントは保険外診療なので治療費は歯科医が自由に決めることができるからです。
 自由だから「うちはしっかり利益を頂きたいから60万円」「うちは薄利でもいいから患者を多く獲得したい」というように経営方針的な要素も価格設定には大きいですが、それ以外にも費用に関わる細かな要因を考えてみます。

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インプラントの手術代金を決める要素

 インプラントの手術代金を決める要因には、歯科医院側の事情だけでなく、患者の状況も関係してきます
  • 歯科医院がどのメーカーのどのインプラント素材を使っているか
  • 歯科医院の診察方法(CTスキャン・レントゲン)
  • 歯科医院のスタッフ・設備のコスト
  • 歯科医院の滅菌・消毒の対応の度合い
  • 患者に虫歯や歯周病があれば事前に治療が必要になることも
  • 患者の骨量が足りない場合の骨再生や骨移植治療・歯肉整形が必要になることも
  • 患者に対する麻酔の方法(局所麻酔・鎮静法)
 健康保険適用外の医療行為は、価格をいくらにするかは歯科医の自由です。それでも歯科医はボランティアでは無いので利益を出さなければなりません。
 多くの場合、歯科医院はインプラント素材や道具を歯科材料商から仕入れます。大手メーカーのインプラント素材を仕入れて、インプラント1本分手術をすれば、一回で20万円~30万円くらい歯科医が負担する費用として計上することになります。そこに、例えば設備や人件費など細々したものを無視し歯科医の利益分を5万円として計算すると、患者さんに請求する額は25万円~35万円となります。ですので、インプラント治療の相場は20万円台ならかなり安い部類に入るということです。

手術代の安いインプラント

 手術代の安いことを売りにしたインプラント治療の宣伝をよく見かけます。時々10万円台で治療している歯医者が広告を出していますが、あまりにも安すぎるのにはインプラント素材などに訳がありそうなので、なぜ安いのか直接歯科医に聞いてみたほうが良いでしょう。現に歯科医がアジア地域へ行って大手メーカーの模倣品やコピー品のインプラント素材を購入してくることもあるようです。粗悪品は安全性・耐久性・衛生面で問題がある場合いがあります。安すぎる場合は当然として、高い場合もで、インプラント素材のメーカー・製造発注元を教えてもらうことは重要です。
 また、インプラント手術には切開する場面もあり、衛生面に非常に気を付けなくてはなりません。手術失敗の原因となる細菌感染を起こさないためにも、治療道具・治療室を滅菌消毒を徹底する必要があります。それにはそれ相応のコストをかけなくてはなりません。

インプラントの手術代が安い歯科医の安全性をチェック

  • 事前説明やコミュニケーションは時間をかけて丁寧に行なってくれているか
  • CTスキャンやレントゲンをきちんと行なっているか
  • 道具の衛生管理に手抜きはないか。道具は滅菌バッグなどに入っているか
  • 治療室の衛生はよさそうか。手術室があれば尚よし
  • インプラント素材はどこのメーカーのものか
  • 歯科助手に手術をさせていないか
  • 歯科衛生士はいるか。スタッフの質はどうか
 また、インプラントの見える部分(歯の部分)の見かけを、自然なエナメル質の白い歯にするか、金属製の銀歯で我慢するかでも5万円程度の差があります。白い人工歯が当然入ると思ったら、安いなと思って治療を受けたら、直前の段階で銀歯だったなんてトラブルもありますで注意しましょう。

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インプラント手術の失敗例

インプラント手術の失敗例には「前歯の見かけが悪い」というような審美性の問題から、細菌感染で骨との結合が上手くいかなくてやり直す例や、手術の事故で神経に後遺症が残ってしまうようなケースまで様々です。
 インプラント治療はルールを厳格に守れば安全性が科学的に確立された治療法であり、世界的には1000万人以上の患者で成功率99%以上とされていますが、100%にできない裏側で訴訟にまで持ち込まれる事故なども起きています。


インプラント手術中の失敗例

インプラントを埋め込む外科手術での失敗例です。

  • 下顎の神経損傷の事故
  • 上顎洞や鼻腔の事故
  • 血管損傷による出血事故
  • 骨のやけど

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下顎の神経損傷の事故
 下顎の神経損傷の事故ですが、インプラント手術中に起こる事故で特に多いがこれです。CT(コンピューター・トモグラフィー)を使って骨の形状や神経の位置がわかるようになったため、神経損傷の事故は以前よりも大幅に減ったものの、今でも多い事故です。下顎骨中の神経は知覚神経であり、運動神経ではありませんので、顎が動かなかったり、筋肉が引きつったりするようなことはありませんが、麻酔をしたときのような神経麻痺が常にあります。
 万が一に神経の損傷が起きてしまった場合、ビタミンや薬物投与による治療を行って対処します。どこまで回復できるかは個人差によります。ただし、神経を完全に切断してしまった場合は回復不可能になってしまいます。

上顎洞や鼻腔の事故
 上顎洞の損傷による蓄膿症や、鼻腔の損傷による大量出血の事故があります。これらはインプラントの事故の中でもそれほど起きる部類ではありません。

血管損傷による出血事故 血管損傷による出血事故は、大きなものは動脈や舌の根元にある大きな血管を損傷してしまったりと、ドリルの操作を誤まることで起きます。また、脳梗塞の薬のように血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合、治療中の止血が止めにくくなることがあります。このような患者は一時的に薬を止める必要があります。対処が遅れると危険なケースです。

骨のやけど
 骨の細胞は温度が5度上がると死んでしまうため、手術でドリルを使う際は、生理食塩水をかけて冷却しながら行います。それがうまくできていないと、骨が死んでしまうため、インプラント体の結合が上手くいかなってしまいます。そうなった場合はインプラント体を引きぬき、骨の再生を待って再度手術を行うことになります。

インプラント手術後にわかる失敗例

 まずはインプラントの失敗例で代表的ものでもある細菌感染です。インプラント体を埋める手術が終わった後、細菌感染で安定期間を無事に乗りきれなかったというケースになります。
  • インプラント体がグラグラする
  • 周囲から膿が出てくる。腫れが続く。痛い。
これらはインプラント体を埋め込む手術が失敗していた可能性が高いです。こうなると骨との結合もうまくいかなくなるので、インプラント体を除去しなければならない場合が多いです。安定期間を無事に乗りきれればインプラント治療の成功は目前なのですが、こうなってしまうこともあるのです。

インプラント治療終了後に「失敗ではないか?」と思われる症状

 次は、安定期間を無事に過ぎ、アバットメントをはめて人工歯を付けた後のトラブルです。
 インプラント治療は、人工歯根を埋め込む手術と安定期間を無事に経過すればほぼ成功と言われており、この段階から起きた出来事は失敗と言えるもかどうかどうかは微妙です。

インプラント咬み合わせが失敗?

  • 舌やほおに当たる
  • よく噛めない
  • 人工歯がグラグラする
これらは対処が可能で、調整の範囲内でもあり、失敗のうちに入るかは微妙です。

インプラントの外観の失敗?

  • 人工歯の色調や形の不調和
  • 歯肉が痩せて、インプラント体の金属部分が露出
  • インプラント体が斜めに埋まっており、前歯が出っ歯になってしまった
 これらは治療の範囲に含まれない場合もあり、もともとインプラントの審美性には限界があるということです。
 ただし、ある程度の審美性が保たれることはインプラント成功条件の一つです。あまりにも見かけに問題があるようなら失敗として扱ってもらえるのかどうか、患者としては訴えたいところです。  
 前歯の見かけの悪さでトラブルが多いようなので、審美性において万が一の時はどこまで対応してくれるのか、保証制度的なものはあるのか事前によく聞いておく必要があります。

インプラント治療の失敗というより衛生管理の失敗

  • 痛い・腫れる・膿が出る
安定期間を無事に過ごして、人工歯を付けた後にこれらの症状がでるとしたら、衛生管理がうまくいっていないということでしょう。自分の歯の手入れに問題があるのかもしれませんし、個人の手入れの限界かもしれません。

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インプラント手術の後遺症

 インプラント手術の後遺症として知覚神経の麻痺が残る事故があります。 
下顎の神経損傷の事故
 下顎の神経損傷の事故ですが、インプラント手術中に起こる事故で特に多いがこれです。CT(コンピューター・トモグラフィー)を使って骨の形状や神経の位置がわかるようになったため、神経損傷の事故は以前よりも大幅に減ったものの、今でも多い事故です。下顎骨中の神経は知覚神経であり、運動神経ではありませんので、顎が動かなかったり、筋肉が引きつったりするようなことはありませんが、麻酔をしたときのような神経麻痺が常にあります。
 万が一に神経の損傷が起きてしまった場合、ビタミンや薬物投与による治療を行って対処します。どこまで回復できるかは個人差によります。ただし、神経を完全に切断してしまった場合は回復不可能で後遺症が残ってしまいます。

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インプラント手術で後遺症が残り、訴訟に

インプラント手術のミスで後遺症が残った患者が歯科医と和解できなかった場合、訴訟になることがあります。下はインプラント訴訟の事例と判決内容です。

インプラント手術の後遺症で訴訟になったケース①

インプラント手術を被告が開設する歯科医院にて実施したところ、原告の患者は手術後に左下唇とオトガイに知覚麻痺の後遺症をおうことになった。麻酔の際に、神経を損傷しないように注射器をゆっくり進め、患者に激痛が走った場合には注射器を戻す必要があるが、原告が痛みを主張したにもかかわらず、被告は注射器を戻す処置を怠り、注射針でオトガイ神経を損傷、後遺症を生じさせたとする原告の主張。被告は原告が主張するような激痛はなかったはずで、注射針による神経への衝突に気がつくのは不可能だったと主張。原告は6945万円の賠償を請求。
(主文)
被告は原告に対し、674万円及びこれに対する平成11年7月7日から支払い済みまで年5年の割合による金員を支払え。

インプラント手術の後遺症で訴訟になったケース②

インプラント手術が被告の開設する歯科医院にて実施された。手術前のCT診断をせず、患者のあご骨の距離を正確に把握せずに削った結果、歯槽の神経を損傷、口唇の下に神経麻痺の後遺症を残した過失、歯科医師の説明義務違反、被告に対し診療契約の債務不履行に基づき損害賠償金1941万円の支払いを請求した事案。
(主文)
被告は原告に対し、376万円およぼこれに対する平成18年10月8日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

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