インプラントの除去手術

 インプラント除去手術が必要になる場合があります。インプラントは天然歯と同じように抜くことができます。除去手術が必要になるのは、例えば次のような時です。
  • 治療が成功しなかった
  • インプラント素材が駄目になった
  • 歯周病の悪化
  手術中や手術直後にインプラントの隙間で細菌感染が起きると腫れたり膿が出てきます。こうなると手術はうまくいかなかったことになります。このままでは骨とインプラントの結合も見込めなくなるため、インプラントの除去手術をします。
 インプラント治療がうまくいかなかったことにより抜くことになった場合、開いた穴は2~3ヶ月で再生するため、再度手術が可能です。骨は再生するので、何度でもインプラントを埋め込むことができます。
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 インプラント手術の失敗を繰り返して骨の再生能力が落ちたり、歯周病で骨が痩せていくと、再びインプラント体を埋め込むことは困難になります。歯周病で骨が痩せていきインプラントがグラグラしかけているときに除去手術をしても、再度インプラントを挿し込むのは難しいでしょう。

インプラント除去手術とメーカー

 インプラントの除去手術をインプラント治療の担当医以外の医師にしてもらう環境になったとします。そのような時にメーカーやその品番がわからないと、最悪の場合は周囲の骨を削って抜くはめになることもあるのです。
 インプラント体を抜く作業は歯を抜歯するのと同じ感覚で抜くだけです。
 しかし、メーカーによってインプラント体の構造が統一されていないため、抜くための道具も統一されていません。
 インプラント治療を受けた歯科で抜いてもらう場合は大丈夫でも、別の歯科で抜いてもらう状況になることに備えてメーカー名や品番、太さや長さを聞いておきましょう。既にインプラントを既に埋め込んで時が経過してる場合も、今からでも担当医にメーカーと品番、太さな、長さなどを聞いておいたほうがいいと思います。
 また、多くの歯科医院取り扱っているメーカーの素材を使ってもらうのも、万が一、抜かなくてはいけない状況になったときに、スムーズにいくことは間違いないでしょう。
 主な大手メーカー名をあげておきます
  • アドバンス社
  • アストラテック社
  • オガインプラント社
  • ストローマン社
  • ジンマーデンタル社
  • デンツプライ社
  • ノーベルバイオケア社
  • プラトン社

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インプラント手術と麻酔

 歯のインプラント手術で麻酔をする場面は、「2回法」の術式で行った場合、1回目の手術と2回目の手術の2回になります。「1回法」の術式は、インプラントを埋める時の1回だけになります。

インプラント手術で局所麻酔

 局所麻酔をインプラント体を埋め込む手術で利用するのが一般的です。麻酔がよく効いてから歯肉の切開・歯槽骨のドリル穴あけと入っていきます。
 局所麻酔は治療する部分の近くの歯肉に麻酔注射を打ち、周辺を麻痺させる方法です。麻酔の効果は個人差がありますが1時間~2時間程度持続します。インプラントの手術が終わり、帰宅するころに少しずつ痛みを感じるようになります。
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 歯肉を切開した部分は1~2週間後に抜糸を行いますが、その時は基本的に麻酔はしません。糸を抜くときに、チクッと痛むことがありますが数秒の我慢です。歯医者さんによっては抜糸時も局所麻酔をするケースもあります。
 2回法の術式を採用している場合は、2回目の手術でも簡単な歯肉切開を行いますので、そこでも局所麻酔で対処します。

インプラント手術 局所麻酔と鎮静法

 局所麻酔はインプラント手術で最もよく使われる麻酔方法ですが、その他に治療中の不安や恐怖を和らげるために鎮静法という方法を利用するケースがあります。鎮静法は人工的に浅い睡眠状態を作り出す方法です。鎮静法自体に鎮痛効果はないので、局所麻酔との併用で使用します。

インプラント手術 局所麻酔+笑気ガス吸入鎮静法

 笑気ガス吸入鎮静法は低濃度の亜酸化窒素のガスを鼻から吸入する方法で、重い呼吸系疾患がある人以外は使用できます。甘い香りがし、副作用も殆ど無く、吸入が終わればすぐに回復できて安全です。

インプラント手術 局所麻酔+静脈鎮静法

 インプラント医の宣伝でも度々見かける静脈鎮静法は、モニターで血圧・脈拍・酸素量などを管理しながら静脈に点滴を打って鎮静剤を入れていく方法です。笑気ガスよりも鎮静作用が強く、治療中の記憶は忘れてしまいます。

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インプラント手術後の腫れる痛み・腫れ方

インプラント手術後腫れるようでも、何もしなくても早ければ3日で引きます。腫れ方が大きくても、長くて1週間ぐらいで腫れが引くのが普通です。

埋め込んだインプラントの数が多いほど腫れ大きいでしょうし、痛みの感じ方は人それぞれですが、痛くて眠れないほどになることは1日目の夜でも無いと思います。

手術後の2,3日目あたりでは、人によってはほっぺが膨らんだような腫れ方もします。
それでも、数日で直ぐに腫れは収まるでしょう。
手術後は長くて一週間は、腫れや、鈍い痛みが続くことがあります。
親知らずを抜く手術を経験された方は多いと思いますが、ちょうど同じような痛みや腫れ具合の経過をたどると考えてください。
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インプラント手術後の腫れる痛みを和らげる

 インプラント手術の前日に、手術後から飲むための抗生物質や痛みは痛み止め(鎮静剤)が処方されますが、人によっては全く痛み止めを飲むことないまま痛みがひく人も多いようです。
 また、腫れる痛みを和らげるには、濡れたタオルなどで冷やすことも有効です。

インプラント手術後腫れ方

インプラント手術から抜糸までの期間は出血や細菌感染に注意する必要があります。もし、歯肉の腫れ方がひどく膿が出てくるときはすぐ担当医に診てもらいましょう。

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インプラント手術とは

インプラント手術とは、歯がない顎の骨にチタン製の歯の根を植え込む手術です。

手術では、局所麻酔後に歯肉切開で歯槽骨を露出させ、ドリルで人工歯根を埋め込む穴をあけます。
その穴に人工歯根を埋め込んで、3ヶ月~6ヶ月治癒期間を置いて人工歯根と歯槽骨を完全にくっつけることに成功すればインプラント手術がほぼ成功したことになります。

人工歯根の上に人工歯の土台を装着し、精密に加工した人工歯を被せれば治療完了。
入れ歯やブリッジ以上に強く噛めて、見かけも良く、安定した人工歯で食事が出来るようになります。
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現代のインプラント手術の歴史

 現代のインプラント手術が生まれたきっかけは、スウェーデンの整形外科医ブローネマルク教授の発見でした。
 1952年、教授は骨の成長を見る実験で、うさぎのひざの骨にチタンを植え込んでしばらく時間を待って引き抜こうとしたところ、まったく取れないという出来事を体験しました。
 教授はこの発見から、人の骨にチタンを埋め込むと、何カ月後には埋め込んだ時のわずかな骨とチタンの隙間がふさがってチタンが骨に半永久にくっつくという大発見を導き出したのです。この結合をオッセオインテグレーションと呼ぶようになりまいた。
 歯のインプラント治療もこの「オッセオインテグレーション」の研究から実験を重ね、「上の顎骨は6ヶ月」「下の顎骨は3ヶ月」というチタンとの結合時間を導き出した結果生まれた医療技術になります。

日本におけるインプラント手術の歴史

 まだインプラント手術が発展途上の時代は、素材にセラミックなどを利用していましたが、骨への定着率が悪く評判が悪い治療法でした。
 日本で現代のインプラント手術方法が導入されたのは1983年です。東京医科歯科大学の小宮山氏がスウェーデン留学から本場の技術を持ち帰りました。東京医科歯科大学の次には日本歯科大学が続き、現在ではほとんどの歯科大学がオッセオインテグレーテッド・インプラントを導入しています。
 日本は欧米に比べて、インプラント治療に関しては教育が遅れたために、症例はまだ少ないです。インプラント治療を行っている歯科医もかなり少数派です。21世紀になり日本でも各大学でインプラント学科が設置され始め、いよいよ日本でもインプラント治療が普及していく段階になりました。

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インプラント手術の流れ

 インプラント手術の流れを一般的に多く行われている2回法の術式の場合で見てみましょう。

インプラント手術 2回法の一次手術の流れ

インプラント体を顎の骨に埋め込む約1時間の手術の流れを解説します。
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局所麻酔をします

インプラント体(人工歯根)を埋める箇所の歯肉を横方向に切開し
ます。

歯肉を開いて反転させ、歯槽骨を露出させます

ドリルで歯槽骨にインプラント体(人工歯根)を埋め込むための穴をあけます

インプラント体を埋め込みます

インプラント体の頭の部分にカバーを装着します

切開した歯肉を閉じて縫合し、インプラント体を完全に覆います

抜糸は1~2週間後に抜糸を行います。抜糸のあとは、埋め込んだインプラント体と顎の骨の隙間が埋まり、完全に結合するのを待ちます。上顎は3ヶ月間・下顎は6ヶ月間かかります。

インプラント手術 2回法の二次手術の流れ

再び歯肉を切開し、埋め込んだインプラント体の頭に、上部構造(人工歯冠)の土台となるアバットメントという部品を取り付ける約1時間の手術の流れです。

局所麻酔をします

インプラント体を埋め込んだ場所の歯肉を切開します

アバットメントを装着します

アバットメントの周囲を縫合します

1~2週間後に抜糸をし、仮歯をつけて時間をかけます。
歯肉が落ち着いてきたら、口の型などをとって正確な仮歯を作り、それをもとに上部構造(人工歯冠)を作製します。出来上がった人工歯冠をかぶせたら、噛む相手の歯との咬み合わせを調整して完成になります。

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インプラント手術の危険性

 インプラント手術の危険性について考えてみます。
 世界的に見れば、手術を受けた患者数は1000万人を超えており手術の成功率は99%以上となっています。厳格なルールにそって治療を行えば必ず成功する手術とされ、万が一手術でトラブルがあっても、それに対する対応手続きもすでに確立されています。
 にもかかわらず、インプラント手術の危険性が指摘されるような記事が日本の週刊誌や新聞で特集されてしまった背景には何があったのか見てみると、どうやらインプラント治療法よりも、歯科医の過失や手抜きに問題があるようなケースが多いようです。

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インプラント手術で使う素材に危険性はあるのか?

 インプラント手術に使う素材は主要な大手メーカー素材を使っている限り危険性はないです。
 しかし、コスト削減のために、歯科医がアジア地域から安い素材を独自に仕入れたり、「うち独自の技術だ」と言ってどこかで加工した素材となると安全性に保証はできなくなります。TVでも特集されましたが、中国で加工された素材に、日本では禁止されている有毒な物質が混合していたそうです。
 また、週刊誌で話題になった「インプラント使い回し疑惑」もあります。
 埋込みに失敗して抜き戻したインプラントは素材は再利用が禁止されています。再利用は危険なのです。にもかかわらず使い回しをしていた歯科医がいたというのです。


インプラントの外科手術方法の危険性

 インプラント外科手術は高度な医療行為ですが、技術的な面から言えば、歯科医にとっては必ずしもインプラントだけが特別難しい治療方法というわけではありません。
 とはいえ、医療事故がインプラントの外科手術でも起こる可能性はあります。
 歯科医が衛生面に手抜きをしていれば、切開手術中の細菌感染の危険性が高まります。
 また、CTスキャンをとらずに、骨の太さや神経の位置を確認しないで手術を行うと、神経損傷や大きな血管の損傷による大量出血の危険性も高まります。

インプラント手術にはどのような危険性があるか

インプラント手術にある危険性といえば、インプラントを埋めるために骨にドリルを入れた時に起こる可能性のあるトラブルを考えなければなりません。
  • 下顎の神経損傷の事故
  • 上顎洞や鼻腔の事故
  • 血管損傷による出血事故
 下顎の神経損傷の事故ですが、インプラント手術中に起こる事故で特に多いがこれです。CT(コンピューター・トモグラフィー)を使って骨の形状や神経の位置がわかるようになったため、神経損傷の事故は以前よりも大幅に減ったものの、今でも多い事故です。下顎骨中の神経は知覚神経であり、運動神経ではありませんので、顎が動かなかったり、筋肉が引きつったりするようなことはありませんが、麻酔をしたときのような神経麻痺が常にあります。
 万が一に神経の損傷が起きてしまった場合、ビタミンや薬物投与による治療を行って対処します。どこまで回復できるかは個人差によります。ただし、神経を完全に切断してしまった場合は回復不可能になってしまいます。
 血管損傷による出血事故は、大きなものは動脈や舌の根元にある大きな血管を損傷してしまったりと、ドリルの操作を誤まることで起きます。また、脳梗塞の薬のように血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合、治療中の止血が止めにくくなることがあります。このような患者は一時的に薬を止める必要があります。
 上顎洞の損傷による蓄膿症や、鼻腔の粘膜損傷による大量出血の事故があります。ただこれらの事故はそれほど起きるものではありません。

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インプラント手術のトラブル

 インプラント手術のトラブルを挙げてみます。手術中のトラブルが中心ですが、手術後のトラブルっぽい例も考えてみます。

インプラント手術中のトラブル

インプラント手術中のトラブルが発生した場合、対処できるものから、取り返しのつかないケースまであります。
  • 下顎の神経損傷の事故
  • 上顎洞や鼻腔の事故
  • 血管損傷による出血事故
  • 骨のやけど

インプラント手術中のトラブル - 下顎の神経損傷の事故

 下顎の神経損傷の事故ですが、インプラント手術中に起こる事故で特に多いがこれです。CT(コンピューター・トモグラフィー)を使って骨の形状や神経の位置がわかるようになったため、神経損傷の事故は以前よりも大幅に減ったものの、今でも多い事故です。下顎骨中の神経は知覚神経であり、運動神経ではありませんので、顎が動かなかったり、筋肉が引きつったりするようなことはありませんが、麻酔をしたときのような神経麻痺が常にあります。
 万が一に神経の損傷が起きてしまった場合、ビタミンや薬物投与による治療を行って対処します。どこまで回復できるかは個人差によります。ただし、神経を完全に切断してしまった場合は回復不可能になってしまいます。

インプラント手術中のトラブル - 上顎洞や鼻腔の事故

 非常にまれですが、上顎洞や鼻腔の事故があります。呼吸器の一つで鼻腔とつながって空気を保有している上顎洞という上顎の上の空洞があります。上顎洞をインプラント埋め込み前のドリルで傷つけて化膿する蓄膿症のケースでは、他の副鼻腔にも感染が広がる危険性があります。
また、鼻腔の粘膜を傷つけて大量出血につながるケースも考えられます。

インプラント手術中のトラブル - 血管損傷による出血事故

 血管損傷による出血事故は、大きなものは動脈や舌の根元にある大きな血管を損傷してしまったりと、ドリルの操作を誤まることで起きます。また、脳梗塞の薬のように血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合、治療中の止血が止めにくくなることがあります。このような患者は一時的に薬を止める必要があります。対処が遅れると危険なケースです。

インプラント手術中のトラブル - 骨のやけど

 骨の細胞は温度が5度上がると死んでしまうため、手術でドリルを使う際は、生理食塩水をかけて冷却しながら行います。それがうまくできていないと、骨が死んでしまうため、インプラント体の結合が上手くいかなってしまいます。そうなった場合はインプラント体を引きぬき、骨の再生を待って再度手術を行うことになります。

インプラント治療後のトラブル

インプラント治療後のトラブルとしては安定期間を無事に乗りきれなかったケースや、仕上がりの問題などが考えられます。

インプラント手術直後のトラブル

  • インプラント体がグラグラする
  • 周囲から膿が出てくる。腫れが続く。痛い。
これらはインプラント体を埋め込む手術が失敗していた可能性が高いです。手術中か手術直後に細菌感染した可能性が高いです。こうなるとインプラント体を除去しなければならない場合が多いです。安定期間を無事に乗りきれればインプラント治療の成功は目前なのですが、こうなってしまうこともあるのです。

インプラント治療終了後のトラブル

 次は、安定期間を無事に過ぎ、アバットメントをはめて人工歯を付けた後のトラブルです。
  • 舌やほおに当たる
  • よく噛めない
  • 人工歯がグラグラする
これらは対処が可能で、調整の範囲内でもあり、最後の仕上げがまだ済んでいないかったとみればトラブルのうちに入るかは微妙です。
  • 人工歯の色調や形の不調和
  • 歯肉が痩せて、インプラント体の金属部分が露出
  • インプラント体が斜めに埋まっており、出っ歯になってしまった
これらは治療の範囲に含まれない場合もあり、もともとインプラントの審美性には限界があるということです。事前に歯科医が詳しい説明を聞いておくことが大切です。
  • 痛い・腫れる・膿が出る
安定期間を無事に過ごして、人工歯を付けた後に化膿の症状がでるとしたら、衛生管理がうまくいっていないということでしょう。手術中の不手際は考えられませんので、自分の歯の手入れに問題があるのかもしれませんし、個人の手入れの限界かもしれません。
  • 治療費の請求額が予想以上に大きかった
大まかにどのくらいになるか口で聞くよりも、きちんと見積書で出してもらったほうが、このようなトラブルを防ぐことができます。

インプラント手術でのトラブルを防ぐ

 インプラント手術でトラブルを防ぐためにCTスキャンの画像データを利用することは非常に重要です。
 手術で偶発的な事故を防ぐためにも、インプラントを長期間使用するためにも、CTで骨の量や厚さ、立体的な形状、神経の位置、血管の位置の情報を正確に把握しておかなければなりません。
 CTの精度の高い立体映像データをパソコンに取り込み、コンピューターでより安全な手術計画を立てることで、安全な手術を行うことができます。
 CTのデータでインプラントを建てる位置、方向、深さなどが確定したら、その正確な情報を手術に利用するためのサージカルテンプレートというマウスピースのような型を作ります。
 サージカルテンプレートを顎にハメることにより、CT診断で決定した位置に向かってより確実にインプラントを埋め込むことができるのです。これで偶発的な事故が起きる確率が確実に減り、インプラント治療自体も綺麗に仕上がることは間違いないでしょう
 このようなCTガイドシステムを導入している歯科医・CT画像を治療に利用する技術を持った歯科医を見つけて治療を受ければ事故予防も確実です。
 実際は、CTスキャンを利用しない一般開業医は多く、レントゲンで十分という意見も多いです。CTスキャンは高額設備なので、歯科医院にはなくても歯科医紹介先の大学病院などでCTデータを取って利用している歯科医もいます。
 大学病院ではCT必ず撮ります。また、大学病院や大きな専門病院では口腔外科、麻酔科、補綴科、放射線科がチームを組んで一人の患者を診るため、一般の開業医よりも心強いです。

インプラントの手術の値段

 インプラントの手術の値段は歯1本30万円~40万円くらいが全国的に見ても一般的な相場です。
治療終了までに多くの人の手が加わるので治療の質を徹底すれば50万円超えてもおかしくありません。

歯のインプラント治療は、最先端医療であり、国民の最低限の健康を保証する健康保険制度の対象外の診療です。
国による7割負担もなく治療費が高額になります。

インプラントから得られる多くのメリットを長期間得られると考えれば、必ずしも高額とは言い切れない分もありますが、短期間で大金が出ていくのは重荷です。
医療費控除による減税分を含めて、治療を受けようかどうか判断をしましょう。
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インプラントの手術の値段は歯科医によって大きく違う

 インプラントの手術の値段は歯科医によって大きく違います。
 インプラントは保険外診療なので治療費は歯科医が自由に決めることができるからです。
 自由だから「うちはしっかり利益を頂きたいから60万円」「うちは薄利でもいいから患者を多く獲得したい」というように経営方針的な要素も価格設定には大きいですが、それ以外にも費用に関わる細かな要因を考えてみます。

インプラントの手術の値段を決める要素

 インプラントの手術の値段を決める要因には、歯科医院側の事情だけでなく、患者の状況も関係してきます
  • 歯科医院がどのメーカーのどのインプラント素材を使っているか
  • 歯科医院の診察方法(CTスキャン・レントゲン)
  • 歯科医院のスタッフ・設備のコスト
  • 歯科医院の滅菌・消毒の対応の度合い
  • 患者に虫歯や歯周病があれば事前に治療が必要になることも
  • 患者の骨量が足りない場合の骨再生や骨移植治療・歯肉整形が必要になることも
  • 患者に対する麻酔の方法(局所麻酔・鎮静法)
 健康保険適用外の医療行為は、価格をいくらにするかは歯科医の自由です。それでも歯科医はボランティアでは無いので利益を出さなければなりません。
 多くの場合、歯科医院はインプラント素材や道具を歯科材料商から仕入れます。大手メーカーのインプラント素材を仕入れて、インプラント1本分手術をすれば、一回で20万円~30万円くらい歯科医が負担する費用として計上することになります。そこに、例えば設備や人件費など細々したものを無視し歯科医の利益分を5万円として計算すると、患者さんに請求する額は25万円~35万円となります。ですので、インプラント治療の相場は20万円台ならかなり安い部類に入るということです。

手術の値段の安いインプラント

 手術の値段の安いことを売りにしたインプラント治療の宣伝をよく見かけます。時々10万円台で治療している歯医者が広告を出していますが、あまりにも安すぎるのにはインプラント素材などに訳がありそうなので、なぜ安いのか直接歯科医に聞いてみたほうが良いでしょう。現に歯科医がアジア地域へ行って大手メーカーの模倣品やコピー品のインプラント素材を購入してくることもあるようです。粗悪品は安全性・耐久性・衛生面で問題がある場合いがあります。安すぎる場合は当然として、高い場合もで、インプラント素材のメーカー・製造発注元を教えてもらうことは重要です。
 また、インプラント手術には切開する場面もあり、衛生面に非常に気を付けなくてはなりません。手術失敗の原因となる細菌感染を起こさないためにも、治療道具・治療室を滅菌消毒を徹底する必要があります。それにはそれ相応のコストをかけなくてはなりません。

インプラントの手術の値段が安い歯科医の安全性をチェック

  • 事前説明やコミュニケーションは時間をかけて丁寧に行なってくれているか
  • CTスキャンやレントゲンをきちんと行なっているか
  • 道具の衛生管理に手抜きはないか。道具は滅菌バッグなどに入っているか
  • 治療室の衛生はよさそうか。手術室があれば尚よし
  • インプラント素材はどこのメーカーのものか
  • 歯科助手に手術をさせていないか
  • 歯科衛生士はいるか。スタッフの質はどうか
 また、インプラントの見える部分(歯の部分)の見かけを、自然なエナメル質の白い歯にするか、金属製の銀歯で我慢するかでも5万円程度の差があります。白い人工歯が当然入ると思ったら、安いなと思って治療を受けたら、直前の段階で銀歯だったなんてトラブルもありますで注意しましょう。

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インプラント手術の死亡事故

 インプラント手術で死亡事故が起きたケースを週刊朝日が特集を組んで報道しました。国内初の死亡事故です。気になる報道の内容をまとめてみました。

インプラント手術で国内初の死亡事故

 東京都中央区の歯科医院で、2007年5月、歯のインプラント治療で手術を受けた女性患者(70歳)が手術中の大量出血が原因で窒息死していたことがわかった。死亡した女性患者の遺族4人は歯科医院と院長を相手取り、1億9000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
 今回事故の起きた歯科医院はホテルのように綺麗で、その様子をう友人にうれしそうに語っていたという。歯医者は、日本のインプラント治療の先駆者として知られ、実力も実績もナンバーワンの先生だった。彼女がその歯科医を知るきっかけとなったのが、週刊東洋経済の記事だった。
 「歯科治療の最高峰であるインプラント。これまでに手掛けたインプラントの埋め入れ本数は2万7389本は、日本はおろか、世界でもナンバーワンの臨床実績として、日々記録を更新している。分院にあるオペ室は完全クリーンルームの設備を持ち、、多いときは、2~3時間かけて、いっぺんに20本を埋め入れることもあるという。」
 この記事を読んで、この歯科医院でインプラント手術を受けることに決めたのだが、彼女は手術中に出血が止まらなくなり容体が急変。翌日に搬送先の病院で死亡した。
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インプラント手術の死亡事故が起きた原因

 司法解剖の結果、死因は顎の下や首のまわりに血液が充満し、気道圧迫による窒息死だった。インプラントのドリルが動脈を損傷し、出血していたにもかかわらず、インプラント体を埋め込んだという。
 報道によると歯医者は「自分は頚椎症のため、手のしびれや痙攣があったからこうなったのかもしれない」と体調不良だったことを語ったという。遺族が「手術は万全な健康状態で行うべきだった」とし、訴訟を起こすと、歯医者は「予測不能だった」と弁明し。遺族はその後の対応に誠意を感じられなかったとしている。

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インプラント手術の安全性は高い

歯のインプラント手術は安全性の高い手術法であることは間違いないです。
 世界的に見れば、手術を受けた患者数は1000万人を超えており成功率は99%以上となっています。そして、万が一失敗してとしても、それに対する対応手続きもすでに確立されています。
 そのインプラント手術の安全性は世界で一番厳しいアメリカ歯科医師会の承認も正式にうけています。
 つまり、難しい心臓の手術のように、「成功する確率は・・%」と医師が患者に言わなくてはいけないような手術ではないことは確かです。歯科医術全般が適切にこなせる先生なら、数ある手術の中の一つにすぎません。

インプラント手術の安全性を脅かすのは歯科医の問題

 インプラント手術は手術方法や手順を含め、たびたび建設業に例えられます。
 建設業界を震撼させた耐震偽装問題や悪質リフォーム問題は、そのままインプラント業界にも当てはまります。技術や知識を持っているはずの一級建築士がコストのためにルールを破ったり、技術がないのに技術があるかのように宣伝して工事を請け負う業者です。
 どんなに信頼性が高いインプラント治療法でも、その技術を使う人間に問題があれば安全性は脅かされるのです。歯科医師自身に問題があったがためにトラブルになたケースを見ると、
  • CTやレントゲンで骨の厚さや神経の位置を確認しなかった(→空洞貫通・神経損傷)
  • 骨が足りないのに強引に手術を進めてしまった(→耐久性)
  • 衛生管理の手抜き、素材の使い回し(→細菌感染)
  • 安全性の低い安物素材をあえて利用した(→耐久性・有害物質)
  • 体調不良なのに手術に臨んでしまった(→ドリル操作ミス)
  • 教育や知識、技術が不足してるのに患者獲得にだけは熱心(→欠陥サービス)
  • 問題だらけの歯科医なのに、生活の為に自ら退く様子はない(→とまらない被害拡大)
  • 行き過ぎた過当競争(→サービスの質の低下)
これらのように、本来あるべき手術の正しい手続を守らない歯科医によって、インプラント治療の安全性が低下することが問題になっています。

インプラント手術で使用する素材の安全性

 インプラント手術で使用する素材の安全性は純チタンを使っている限りゆらぎません。
 チタンが骨と結合する発見がされてから50年以上経ちましたが、純チタンによる人体への影響は今のところ報告されていません。骨への影響もないようです。
 インプラントの素材を長期間入れ続けること自体には心配はないでしょう。
 ただし、歯医者がアジアから輸入したインプラント素材に有害物質が混じっていたという事件もありました。
 とはいえ、これは信頼できる歯医者であればクリアできる問題です。診断時にどのメーカーのインプラント素材を使うのかは必ず聞き出しましょう。

インプラント手術の安全性

 インプラント手術の安全性は、ルールを厳格に守っているかぎり脅かされることはありません。インプラント手術は少し難しい親知らずの手術のような感じで、あらゆる治療をこなす歯科医にとっては必ずしも難しい手術ではないようです。
 とはいえ、人の手で行うものなので、親知らずの抜歯手術でまれに事故があるようにインプラント手術でも事故が起こる可能性はあります。 
 インプラント手術はトラブルや事故を防ぐための手順が決まっており、しっかりとした治療計画・厳格なルールに沿って進めていけば成功する安全な手術です。衛生管理を徹底した手術が成功すればその後の副作用もほとんどありません。
 インプラントを埋め込む手術は、インプラント治療最大の山場です。この手術を終えてしばらくしても何も異常がなければ、ほとんど成功したと言っていいでしょう。

インプラント手術をより安全に行う方法

 インプラント手術で医療事故を防ぐためにCTスキャンの画像データを利用することで、より安全に手術を行えるようになりました。
 CTの精度の高い立体映像データをパソコンに取り込み、コンピューターで手術の計画を立てられるようになったのです。
 CTのデータでインプラントを建てる位置、方向、深さなどが確定したら、その正確な情報を手術に利用するためのサージカルテンプレートというマウスピースのような型を作ります。
 サージカルテンプレートを顎にハメることにより、CT診断で決定した位置に向かってより確実にインプラントを埋め込むことができるのです。これで偶発的な事故が起きる確率が確実に減り、インプラント治療自体も綺麗に仕上がることは間違いないでしょう
 このようなCTガイドシステムを導入している歯科医・CT画像を治療に利用する技術を持った歯科医を見つけて治療を受ければ事故予防も確実です。
 実際は、CTスキャンを利用しない一般開業医は多く、レントゲンで十分という意見も多いです。CTスキャンは高額設備なので、歯科医院にはなくても歯科医紹介先の大学病院などでCTデータを取って利用している歯科医もいます。
 大学病院ではCT必ず撮ります。また、大学病院や大きな専門病院では口腔外科、麻酔科、補綴科、放射線科がチームを組んで一人の患者を診るため、一般の開業医よりも心強いです。

インプラント手術の料金

インプラント手術の料金は歯1本30万円~40万円くらいが全国的に見ても一般的な相場です。治療終了までに多くの人の手が加わるので治療の質を徹底すれば50万円超えてもおかしくありません。
 歯のインプラント治療は、最先端医療であり、国民の最低限の健康を保証する健康保険制度の対象外の診療です。国による7割負担もなく治療料金が高額になります。
 インプラントから得られる多くのメリットを長期間得られると考えれば、必ずしも高額とは言い切れない分もありますが、短期間で大金が出ていくのは重荷です。医療費控除による減税分を含めて、治療を受けようかどうか判断をしましょう。

インプラント手術の料金は歯科医によって大きく違う

インプラント手術の料金は歯科医によって大きく違います。
 インプラントは保険外診療なので治療費は歯科医が自由に決めることができるからです。
 自由だから「うちはしっかり利益を頂きたいから料金60万円」「うちは薄利でもいいから患者を多く獲得したい」というように経営方針的な要素も価格設定には大きいですが、それ以外にも費用に関わる細かな要因を考えてみます。

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インプラント手術の料金を決める要素

 インプラント手術の料金を決める要因には、歯科医院側の事情だけでなく、患者の状況も関係してきます
  • 歯科医院がどのメーカーのどのインプラント素材を使っているか
  • 歯科医院の診察方法(CTスキャン・レントゲン)
  • 歯科医院のスタッフ・設備のコスト
  • 歯科医院の滅菌・消毒の対応の度合い
  • 患者に虫歯や歯周病があれば事前に治療が必要になることも
  • 患者の骨量が足りない場合の骨再生や骨移植治療・歯肉整形が必要になることも
  • 患者に対する麻酔の方法(局所麻酔・鎮静法)
 健康保険適用外の医療行為は、価格をいくらにするかは歯科医の自由です。それでも歯科医はボランティアでは無いので利益を出さなければなりません。
 多くの場合、歯科医院はインプラント素材や道具を歯科材料商から仕入れます。大手メーカーのインプラント素材を仕入れて、インプラント1本分手術をすれば、一回で20万円~30万円くらい歯科医が負担する費用として計上することになります。そこに、例えば設備や人件費など細々したものを無視し歯科医の利益分を5万円として計算すると、患者さんに請求する額は25万円~35万円となります。ですので、インプラント治療の相場は20万円台ならかなり安い部類に入るということです。

手術料金が安いインプラント

 手術料金が安いことを売りにしたインプラント治療の宣伝をよく見かけます。時々10万円台で治療している歯医者が広告を出していますが、あまりにも安すぎるのにはインプラント素材などに訳がありそうなので、なぜ安いのか直接歯科医に聞いてみたほうが良いでしょう。現に歯科医がアジア地域へ行って大手メーカーの模倣品やコピー品のインプラント素材を購入してくることもあるようです。粗悪品は安全性・耐久性・衛生面で問題がある場合いがあります。安すぎる場合は当然として、高い場合もで、インプラント素材のメーカー・製造発注元を教えてもらうことは重要です。
 また、インプラント手術には切開する場面もあり、衛生面に非常に気を付けなくてはなりません。手術失敗の原因となる細菌感染を起こさないためにも、治療道具・治療室を滅菌消毒を徹底する必要があります。それにはそれ相応のコストをかけなくてはなりません。

インプラントの手術料金が安い歯科医の安全性をチェック

  • 事前説明やコミュニケーションは時間をかけて丁寧に行なってくれているか
  • CTスキャンやレントゲンをきちんと行なっているか
  • 道具の衛生管理に手抜きはないか。道具は滅菌バッグなどに入っているか
  • 治療室の衛生はよさそうか。手術室があれば尚よし
  • インプラント素材はどこのメーカーのものか
  • 歯科助手に手術をさせていないか
  • 歯科衛生士はいるか。スタッフの質はどうか
 また、インプラントの見える部分(歯の部分)の見かけを、自然なエナメル質の白い歯にするか、金属製の銀歯で我慢するかでも5万円程度の差があります。白い人工歯が当然入ると思ったら、料金が安いなと思って治療を受けたら、直前の段階で銀歯だったなんてトラブルもありますで注意しましょう。

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インプラント手術で骨移植

歯のインプラント手術前に骨移植を行うケースもあります。

インプラント手術はもともと歯を失っている患者の顎に人工歯を植え込む手術法ですが、人の顎骨は歯を失うと痩せていく性質があるため、インプラント治療を行うのに十分な顎骨(歯槽骨)が無いケースも出てくるのです。

歯が抜けると、空いた隙間を埋めようと、周囲の歯槽骨が使われてしまし痩せていくようにへこんでいきます。
それに合わせて歯肉も痩せていきます。

歯周病は顎の骨が溶ける病気ですが、これも顎骨を薄くする原因となります。
歯槽骨の不足は骨再生手術や骨移植手術で対処できます。広く利用されている方法として、骨再生誘導法やサイナスリフトなどがあります。

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インプラント手術で利用される骨再生誘導法

 質のよい骨を得ることができる骨再生誘導法はインプラント手術に多く利用されている方法です。骨を増やしたい部分にカバーで空間を作り、その空間に骨が自然に再生されるのを待つ方法や、空間に直接骨の成分を入れて早く骨を作る方法もあります。骨を移植する時に使う骨の成分は、自分の口の中の骨を細かくしたものや、人工骨を使います。

上顎のインプラント手術のための骨移植

 上顎へインプラント手術をするための骨移植としてサイナスリフトという方法があります。上顎の奥歯の骨が不足している場合は下顎に比べてインプラント治療が不可能な場合が多いです。原因は上顎の上に上顎洞という空洞があるからです。この空洞の下の部分に骨移植をして上顎の量を増やすのがサイナリフトという技術です。
  • ラテラルウィンドウ法・・・歯槽骨から上顎洞までの厚さがほとんどないような場合、上顎洞の側面に窓をあけ、移植用の骨を入れる方法。
  • オステオトーム法・・・歯槽骨から上顎洞までの高さが5ミリ以上、幅が6ミリ以上ある場合、注入ハリのようなものを使って上顎洞に骨を移植する方法。

インプラント手術と同時に骨移植

インプラント手術同時に骨移植を行うGBR法という技術もあります。痩せた歯槽骨に横方向に厚みを持たせるよう、骨を再生します。
 GBRテクニックでは、インプラントを入れた痩せている骨の横に人工膜でテントを張って密閉された空間を作り、そこに人工骨か自分の骨の粉砕した成分を移植します。
 GBRが成功すれば、厚みが増した骨にインプラントを埋め込むことができ、骨が痩せていた状態では不可能だったよりしっかりとしたインプラント治療が行えます。

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インプラント手術の訴訟や事故

歯のインプラント手術の訴訟や事故の例を挙げてみます。非常にまれですが、インプラント手術中に起こった神経損傷事故では、感覚神経の回復が見込まれないケースで訴訟になることがあります。


インプラント手術 訴訟事例①

インプラント手術を被告が開設する歯科医院にて実施したところ、原告の患者は手術後に左下唇とオトガイに知覚麻痺の後遺症をおうことになった。麻酔の際に、神経を損傷しないように注射器をゆっくり進め、患者に激痛が走った場合には注射器を戻す必要があるが、原告が痛みを主張したにもかかわらず、被告は注射器を戻す処置を怠り、注射針でオトガイ神経を損傷、後遺症を生じさせたとする原告の主張。被告は原告が主張するような激痛はなかったはずで、注射針による神経への衝突に気がつくのは不可能だったと主張。原告は6945万円の賠償を請求。
(主文)
被告は原告に対し、674万円及びこれに対する平成11年7月7日から支払い済みまで年5年の割合による金員を支払え。


インプラント手術 訴訟事例②

インプラント手術が被告の開設する歯科医院にて実施された。手術前のCT診断をせず、患者のあご骨の距離を正確に把握せずに削った結果、歯槽の神経を損傷、口唇の下に神経麻痺の後遺症を残した過失、歯科医師の説明義務違反、被告に対し診療契約の債務不履行に基づき損害賠償金1941万円の支払いを請求した事案。
(主文)
被告は原告に対し、376万円およぼこれに対する平成18年10月8日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

インプラント手術の事故の例

以前から歯に自信がなかった患者は評判を聞いて近所の歯科医院でインプラントの相談をしに行った。患者は歯が無いところにインプラントを入れようと考えていたが、歯科医師から上の歯を全部抜いてインプラントにすることを勧められた。歯科医師を信じた患者は言われるがままに抜歯をうけ、インプラントを埋めた。数週間後にネバネバの悪臭を放つ液体が止まらず。担当医師は加齢によるものと説明。不衛生な環境で手術を行ったことによる細菌感染かもしれないが、原因がわからないままでいたら、歯科医師は自己破産をして廃業してしまった。

インプラント手術前にサイナスリフト

インプラント手術前にサイナスリフトという骨移植技術を使うこともあります。
 サイナスリフトは上顎奥歯の骨不足に対して使われる骨移植技術です。上顎の奥歯の骨の厚みが不足している場合はインプラント治療が行えないな場合が多いのですが、その原因は上顎の上に上顎洞という空洞があるためです。サイナリフトはこの空洞の下の部分に骨移植をして上顎の厚みを増やす技術です。


サイナスリフト手術の種類

サイナスリフト手術では上顎の骨不足の程度をみて2種類の方法があります。

  • ラテラルウィンドウ法・・・歯槽骨から上顎洞までの厚さがほとんどないような場合、上顎洞の側面に窓をあけ、移植用の骨を入れる方法。
  • オステオトーム法・・・歯槽骨から上顎洞までの高さが5ミリ以上、幅が6ミリ以上ある場合、注入ハリのようなものを使って上顎洞に骨を移植する方法。
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インプラント手術でサイナスリフトを利用する理由

 インプラント手術をうける患者の多くは、歯周病や虫歯、事故などにより既に歯が抜けてから時間がたっています。
 歯が抜けると、空いた隙間を埋めようと、周囲の歯槽骨が使われてしまし痩せていくようにへこんでいきます。それに合わせて歯肉も痩せていくのです。
 また、歯が無くなった箇所の骨は物を噛んだ時の刺激が無くなるため、それだけでも歯槽骨が痩せていきます。
 骨の厚みが足りないのに短いインプラントちょこんと入れても欠陥工事のようになり、長期の安定は望めません。
 サイナスリフトで骨の厚みを増したところでインプラントを埋め込めば、より安定した人工歯が建てられるというわけです。

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インプラント手術の成功率

インプラント手術の成功率の高いです。
 オッセオインテグレーテッド・インプラントの手術を受けた患者数は世界的に見ると1000万人を超えており手術の成功率は99%以上となっています(国際基準では5年以上経過できたものは全て成功にカウントされます)。
 さらに、インプラント治療の安全性は世界で一番厳しいアメリカ歯科医師会の承認を正式にうけています。

 故日本歯科医学会会長関根氏の言葉「義歯(入れ歯など)よりも有意性のある治療であり、今や厳密に症例を選択し、基本ルールを厳守すれば成功する、すなわち、科学的に立証され、組み立てられた治療法として確立されています。歯科医師が・・技術を修練させていけば、必ずや患者さんに満足してもらえる」 

 現代のインプラント治療は、長い年月をかけ綿密な研究を重ねた結果完成したもうで、どのようなケースは、どうように治療するのが最善かルールが完成しています。そして、万が一失敗してとしても、それに対する対応手順もすでに確立されています。インプラントの素材であるチタンに対しアレルギー反応を起こした例も今のところ報告されていません。

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 過去のインプラント発展途上の段階ではセラミックなどを利用していた時期がありました。その時に出来たインプラントが時間が経つに連れて駄目になるイメージを引きずっている方もいます。現代のオッセオインテグレーテッド・インプラントはその厳格な成功基準から昔のインプラント治療と別物と考えてください。

インプラント手術の成功率を脅かすのは歯科医の問題

 インプラント手術の成功率を脅かすのは歯科医の問題だとよく言われます。本来正しい手順を踏めば成功して当たり前のインプラント治療ですが、その成功率が脅かされる背景には歯科医師自身に問題がある場合が実際に多いのです。
  • CTやレントゲンで骨の厚さや神経の位置をきちんと確認しなかった
  • 患者の骨量が足りないのに強引に手術を進めてしまった
  • 衛生管理に手抜きなど問題があった
  • 歯科助手に手術を行わせていた
  • 歯科医自身が体調不良なのに手術に臨んでしまった
  • 安全性に問題がある安物素材をあえて利用した
 これらのように、本来あるべき基本ルールを厳守しない歯科医によってインプラント治療の成功率が低下することが問題になっています。
 最近話題になり問題になっているのは、クレームの常連になっているような悪質な歯科医が現在もなおインプラント治療を続けているケースです。必要な情報が患者に伝わっておらず、一箇所の歯科医院から被害者の拡大はなおも続いているというのです。

インプラント手術が成功しなかった例

 一般的にインプラント手術が成功しなかった例で多いのは手術後に感染症にかかってしまうケースです。ただこの場合は、まだ再手術などで対応が可能ですので失敗と言い切れるかどうかはわかりません。
 しかし、失敗後に体の不具合がもとに戻らないケースもあります。
 インプラント手術の失敗で訴訟にまでなったケースを見ると、ドリルの作業時に歯医者の不注意から顎の神経を損傷してしまい、後遺症がのこってしまったというものが多いいようです。
 CTスキャンやレントゲンをきちんととっていなかったというお粗末な例もあれば、実績を多く積んだ評判の医師がいっときの不注意でミスを起こしたケースもあります。
 体を削る手術である以上、リスクはゼロにはできません。
 2007年には手術中のドリルによるミスによって国内で初めての死亡事故も起きました。大きな血管を損傷後に、その後の処置が遅れて患者が死亡したそうです。

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