インプラント手術の後遺症

 インプラント手術の後遺症として知覚神経の麻痺が残る事故があります。 
下顎の神経損傷の事故
 下顎の神経損傷の事故ですが、インプラント手術中に起こる事故で特に多いがこれです。CT(コンピューター・トモグラフィー)を使って骨の形状や神経の位置がわかるようになったため、神経損傷の事故は以前よりも大幅に減ったものの、今でも多い事故です。下顎骨中の神経は知覚神経であり、運動神経ではありませんので、顎が動かなかったり、筋肉が引きつったりするようなことはありませんが、麻酔をしたときのような神経麻痺が常にあります。
 万が一に神経の損傷が起きてしまった場合、ビタミンや薬物投与による治療を行って対処します。どこまで回復できるかは個人差によります。ただし、神経を完全に切断してしまった場合は回復不可能で後遺症が残ってしまいます。

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インプラント手術で後遺症が残り、訴訟に

インプラント手術のミスで後遺症が残った患者が歯科医と和解できなかった場合、訴訟になることがあります。下はインプラント訴訟の事例と判決内容です。

インプラント手術の後遺症で訴訟になったケース①

インプラント手術を被告が開設する歯科医院にて実施したところ、原告の患者は手術後に左下唇とオトガイに知覚麻痺の後遺症をおうことになった。麻酔の際に、神経を損傷しないように注射器をゆっくり進め、患者に激痛が走った場合には注射器を戻す必要があるが、原告が痛みを主張したにもかかわらず、被告は注射器を戻す処置を怠り、注射針でオトガイ神経を損傷、後遺症を生じさせたとする原告の主張。被告は原告が主張するような激痛はなかったはずで、注射針による神経への衝突に気がつくのは不可能だったと主張。原告は6945万円の賠償を請求。
(主文)
被告は原告に対し、674万円及びこれに対する平成11年7月7日から支払い済みまで年5年の割合による金員を支払え。

インプラント手術の後遺症で訴訟になったケース②

インプラント手術が被告の開設する歯科医院にて実施された。手術前のCT診断をせず、患者のあご骨の距離を正確に把握せずに削った結果、歯槽の神経を損傷、口唇の下に神経麻痺の後遺症を残した過失、歯科医師の説明義務違反、被告に対し診療契約の債務不履行に基づき損害賠償金1941万円の支払いを請求した事案。
(主文)
被告は原告に対し、376万円およぼこれに対する平成18年10月8日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

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